若者が会社を辞める理由に会社が「ゆるい職場だから」とは?

部下との人間関係の悩み

ゆるい職場の現状

 若者がゆるい職場から辞める理由を探るにあたり、まずはゆるい職場の現状について考えてみましょう。

ゆるい職場とは?定義と特徴

 「ゆるい職場」とは、若者の期待や能力に対して仕事の負荷や成長機会が乏しい職場を指します。

 ゆるい職場では、仕事に対する厳格なルールやハイペースな業務が求められず、業務量や難易度が低い傾向があります。また、上司や同僚とのコミュニケーションも比較的自由であり、縦の関係よりも横の関係が重視されることが多いです。

 また、ゆるい職場では定時での帰宅や残業の少なさが特徴的で、勤務時間の柔軟性があることもあります。

ゆるい職場の普及背景

 ゆるい職場の普及背景としては、労働法改革により働く環境の改善が進んでいることが挙げられます。

 労働時間の短縮や残業時間の削減、パワーハラスメントの防止など、労働環境に関する法的な規制が強化されたことで、職場の労働条件が改善されてきました。

 また、大手企業を中心に上司と部下の関係がゆるくなり、褒めるマネジメントが一般的になりつつあります。上司との距離が近くなり、コミュニケーションが円滑に行われることも、ゆるい職場の一因と言えるでしょう。

 以上のような背景から、社会の中でいわゆる「ゆるい職場」が増えている要因です。

若者が転職を考える理由

 なぜ若者はゆるい職場から辞めるのでしょうか?それにはいくつかの理由があります。

若者が求める上司のリーダーシップ

 現代の若者は子供時代の教育やスマホなどの情報の影響から受動的な性格が多いようです。自発的に進もうとするのではなく、誰かに引っ張ってもらって理想的な道を進みたいという感情です。Youtuberなどで稼ごうとする若者が多いのも、自分が何か新しいものを見出すことよりも、他の人の成功を自分も同じようにすればうまくいくといった心理から来ていると思われます。

 今は働き方改革の影響により上司は部下に強い態度で指導や注意がしにくくなりました。2000年過ぎからパワハラなどのハラスメントが注目されるようになり、会社ではハラスメントとの見極めに苦労するようになりました。そのため部下や若者からは指導が甘いと捉えられるようになり、逆に頼りない印象を与えています。

 若者は強く能力の高い指導者がいないとと会社や自分の将来が不安だと感じているのです。

スキルアップやキャリア形成への不安

 ゆるい職場では若者や部下に責任ある業務を与えにくくなっています。残業などさせにくい今の状況では無難な仕事を与えてゆっくりと成長を期待するしかないのですが、そのため彼らはあてにされていない、頼られていない、このままでは能力が上がらないと感じいているのです。

 彼らは厳しい指導や労働環境は避けつつスキルは向上させたい、認められたいと思っているため、上司や会社との考え方の乖離が発生しています。

希望する業務を担当できない

 若者は自分がやりたい業務や興味のある分野に携わりたいと思っています。しかし実際に入社してみるとその違いを実感することがあります。将来的にはその業務を任されることがあるかもしれませんが、そこまで地道に業務をこなしながらその時期を待つといったことに耐えられません。

 彼らはSNSなどで様々な情報を得ており、今の会社以外に自分の望む仕事が出来る職場があるのではと常に考えています。そのため退職することにあまり危機感がありません。年齢が若いこともありどこかには自分にふさわしい会社があると信じて辞めていきます。

 以上が、若者が転職を考える主な理由です。ゆるい職場では若者の成長やキャリア形成に対する不安が高まり、彼らが抱える離職率が増加しているのです。

ゆるい職場でも若者に望まれる環境作り

 大卒の3年未満の離職率は3割以上というデータもあります。

若手人材の早期離職の実態~調査結果から見えた早期離職検討者と企業に必要な考え方とは~ | マイナビキャリアリサーチLab
6月頃になって不調を感じる「6月病」。6月病が要因となり、職場環境を見直す人が増えているのではないだろうか。また、6月は夏季賞与の時期となり、賞与支給後に転職をする人、賞与が要因で転職を考えだす人が増える時期でもある。今回はこの時期に増える可能性のある「早期離職」について、特に若年層に着目し、データを元に紐解いていく。

 今後のゆるい職場に対する展環境改善は、働きやすさとキャリア形成の両立でしょう。若者たちは仕事を通じて成長したいという意欲を持ちながらも、プライベートの充実やワークライフバランスも重視しています。

 そのため、企業や組織は若者が能力を発揮し、自身の成長を実感できる環境を整える必要があります。具体的には、業務を細分化し各自に無理のない責任を持たせ、その達成率を適時評価するといった方法です。また、次の業務を予定しスキルアップの達成感を実感させるようにします。

またある程度大きな業務を複数の若者達で遂行させることも良いでしょう。

若者は自分から進んで意見を主張することに苦手意識を持ちます。周りからの評価を気にしており自分が目立ち過ぎたり疎外されることに臆病です。彼らの持っている考えや希望する将来を聞きだすには、個別にヒアリングする場を設けてその意見が上司や会社に届く環境を作ることが大事です。

彼らの求める働き方や会社での将来像を会社側が知ってくれているというだけでも、働く意味を感じモチベーションとなります。

彼らは若者だからとやる気がなかったり主張しないから確固たる働く目的を持っていないのだという認識は排除して向き合うようにすべきです。

まとめ:ゆるい職場を改善する方法

 若者がゆるい職場から辞める理由は主に成長やキャリア形成に関わる不安から来ていることが分かりました。しかし、労働環境や労働時間の改善によって職場に対する不満は減少しています。そこで、ゆるい職場を改善する方法として以下の点を考える必要があります。

1. 組織文化の変革

 ゆるい職場を改善するためには、組織文化の変革が必要です。成長やキャリア形成に重点を置いた文化を作り上げることで、若者の意欲を引き出すことができます。上司とのコミュニケーションやフィードバックの機会の充実、個々のスキルや能力を伸ばすための研修制度の整備など、成長に繋がる環境づくりが重要です。

2. 仕事の内容の見直し

 若者が希望する業務を担当できるような仕事の内容を見直すことも重要です。若手社員が自身の能力やスキルを活かし、成果を上げることができるような業務を与えることで、モチベーションややりがいを感じることができます。

3. キャリアパスの設定

 若者が将来のキャリアを見据えて働くためには、キャリアパスの設定が必要です。組織内での昇進やキャリアアップの道筋を示すことで、若者に将来に対する期待感や安心感を与えることができます。

4. コミュニケーションの充実

 上司や同僚とのコミュニケーションを充実させることも、若者の離職を防ぐために重要です。フィードバックや助言の機会や、定期的な面談などを通じて、若者が抱える不安や悩みに寄り添うことが求められます。

 以上のポイントを踏まえることで、ゆるい職場を改善し、若者の定着や成長に繋げることができるでしょう。若者が会社に対して長く働き続け、自身の成長を実感できる環境を整えることが、企業や組織の持続可能な発展につながると言えます。

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